愛おしい姪が2人いる。
姪と言っても小さな子ではない。2人とも60後半、
お婆さんと呼ばれてもおかしくない年だ。
一人が長姉の一人娘。僕が高校1年か2年の頃だったと思う。
姉がその幼子を連れ遊びにやって来た。
この姉が僕を母親のように可愛がってくれたように、
僕はこの子がひどく可愛かった。
「おんぶしていい」と言えば、姉はその小さな子を背負わせてくれた。
「よし、よし」とあやしながら部屋の中を行ったり来たりしているうちに
背に少しばかり重さが加わった。どうやら眠ったようだ。
「あれっ」背が何だか生温かい。手を回すと大変だ。
「姉ちゃん、この子おしっこ漏らしたよ」と言えば、
「私もあんたから同じ目に合わされたからね。仕返しよ」
姉は大笑いするばかりだった。
この姪はずっと独り身を通してきたが、今でも仕事を持ち立派に自立している。

次姉にも一人娘がいる。おしっこ漏らしの長姉の子より1歳下だ。
実はこの子が小学生だった頃、姉が実家に戻ってきて
一時同居していたことがある。
僕は大学生になっていたと思うが、末っ子だった僕にすれば
少し年の離れた妹が出来たようなもので、
逆にこの子にすれば叔父というより兄という存在だったに違いなく、
まさに兄妹という感覚で親しんだものだ。
次姉は苦労しながらも女手一つでこの子を一人前にし、
そしてこの子も長じて同じように女手一つで自慢の一人息子を育て上げている。
2人は長崎に住み、機会あるごとに行き来し、大変に仲が良い。
実は長崎の当家の墓には義兄となる長姉の連れ合い、
そして交通事故死した次姉も入っている。
6人いた兄弟姉妹は、今や長姉と僕の2人きり。
本来僕が守っていかなければならない墓なのだが、
福岡に住んでいることもあり思うに任せない。
それで僕に代わり、姪がしっかり守ってくれているのだ。
今日も「○○兄ちゃん、今、姪っ子2人で墓参り中ですよ」とLINEがきた。
2人はいずれも僕のことを「叔父さん」とは言わず「兄ちゃん」と呼ぶ。
その「兄ちゃん」はもう83歳。
未だ「兄ちゃん」呼ばわりされるのは、何ともはやである。
「もう『叔父さん』と呼んでもらいたいのだけど……」そう言えば、
「何歳になっても私たちにとって永遠に『○○兄ちゃん』ですよ!」だと。