手をぐっと握れば甲の皺は隠される。
試みに開いてみれば、
たちまち皺に覆われた手へと豹変した。
血管が浮き出、ところどころにシミ。
短い指、みっともなく不格好な手に苦笑する。
泣きながら、抱かれた母の乳房を求めた手。
息絶え床に横たわる父の、うっすら伸びたヒゲを剃ってやった手。
長年寄り添ってくれた妻の手を引き、引かれた手。
娘たちの幸せを祈って、合わせた手。
すべすべ、ふっくら……初めての孫に触れ、たまらない喜びを感じた手。

リレー競争で、渡されたバトンをしっかり受け止めた手。
宙返りをするため、鉄棒に飛びついた手。
2キロを完泳しようと、懸命に水を掻いた手。
初めてのステージで、持ったマイクを震えさせた手。
ペンで、ワープロで、そしてパソコンで文字を書き続けた手。
すっかり後退してしまった頭を、虚しく撫でる手。
すでに、父より15歳も長く生きている。
この手の皺の中には、僕の人生が深く刻み込まれている。
今年、僕は7度目の年男となった。