Toshiが行く

3人の孫の成長に目を細める80歳代爺さん

 

 

手をぐっと握れば甲の皺は隠される。

試みに開いてみれば、

たちまち皺に覆われた手へと豹変した。

血管が浮き出、ところどころにシミ。

短い指、みっともなく不格好な手に苦笑する。

 

泣きながら、抱かれた母の乳房を求めた手。

息絶え床に横たわる父の、うっすら伸びたヒゲを剃ってやった手。

長年寄り添ってくれた妻の手を引き、引かれた手。

娘たちの幸せを祈って、合わせた手。

すべすべ、ふっくら……初めての孫に触れ、たまらない喜びを感じた手。

 

  

 

リレー競争で、渡されたバトンをしっかり受け止めた手。

宙返りをするため、鉄棒に飛びついた手。

2キロを完泳しようと、懸命に水を掻いた手。

初めてのステージで、持ったマイクを震えさせた手。

ペンで、ワープロで、そしてパソコンで文字を書き続けた手。

すっかり後退してしまった頭を、虚しく撫でる手。

 

すでに、父より15歳も長く生きている。

この手の皺の中には、僕の人生が深く刻み込まれている。

今年、僕は7度目の年男となった。